猫を飼い始めると、去勢・避妊手術をいつ受けさせるべきか悩む方は少なくありません。完全室内飼いであっても、手術を受けることで問題行動の予防や病気のリスク低減など、猫と飼い主の双方にメリットがあります。
この記事では、去勢・避妊手術の適切な時期、手術当日の流れ、費用、術後のケアについてまとめました。
手術の適切な時期
猫の去勢・避妊手術は、初めての発情が来る前に行うのが一般的に推奨されています。
| 性別 | 推奨時期 | 初回発情の目安 |
|---|---|---|
| オス(去勢) | 生後6〜7か月頃 | 生後6〜10か月頃 |
| メス(避妊) | 生後5〜6か月頃 | 生後5〜9か月頃 |
メス猫は初めての発情が来る前に手術を行うと、乳腺腫瘍の発生リスクを大幅に下げられることが研究で示されています。初回発情前の避妊手術で乳腺腫瘍のリスクが約90%低減するとされ、発情を重ねるごとにそのリスク低減効果は下がっていきます。
オス猫の場合も、スプレー行為(尿マーキング)が習慣化する前に去勢手術を行うと、術後にスプレー行為がなくなる確率が高くなります。発情を経験してからの手術では、行動が習慣として定着してしまい、術後も続くことがあります。
生後6か月未満での早期手術を行う動物病院もあり、保護猫団体などでは生後2〜3か月で手術するケースもあります。早期手術の安全性については近年のデータで問題がないとされていますが、かかりつけ医と相談して決めるのが確実です。
手術のメリットとデメリット
メリット
| 性別 | メリット |
|---|---|
| オス | スプレー行為の予防・軽減、攻撃性の低下、放浪行動の減少、精巣腫瘍の予防 |
| メス | 望まない妊娠の防止、乳腺腫瘍のリスク低減、子宮蓄膿症の予防、発情のストレス解消 |
とくにメス猫の子宮蓄膿症は、未避妊の高齢猫に多い病気で、発症すると緊急手術が必要になります。若いうちに避妊手術を済ませておくことで、将来の重い病気を予防できます。
デメリット
手術のデメリットとしては、全身麻酔のリスクがゼロではないことが挙げられます。健康な若い猫の場合、麻酔事故の確率は非常に低い(0.1%未満)ですが、事前の血液検査で健康状態を確認することが推奨されます。
術後はホルモンバランスの変化により太りやすくなる傾向があるため、食事量の調整と適度な運動で体重管理を行う必要があります。
手術当日の流れ
一般的な手術のスケジュールは以下のとおりです。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 前日の夜 | 夜9時以降は絶食(水は当日朝まで可の場合が多い) |
| 当日朝 | 動物病院へ連れていく |
| 午前中 | 術前検査(血液検査、心電図等) |
| 日中 | 手術実施(オスは15〜30分、メスは30〜60分程度) |
| 術後 | 麻酔から覚醒。数時間の経過観察 |
| 夕方〜翌日 | 退院(日帰りの場合は夕方、1泊入院の場合は翌日) |
オス猫の去勢手術は比較的簡単な手術で、日帰りの病院が多いです。メス猫の避妊手術は開腹手術となるため、1泊入院が必要な病院もあります。
費用の目安
| 項目 | オス(去勢) | メス(避妊) |
|---|---|---|
| 手術費用 | 10,000〜20,000円 | 20,000〜35,000円 |
| 術前検査 | 3,000〜5,000円 | 3,000〜5,000円 |
| 薬代(抗生物質等) | 1,000〜3,000円 | 1,000〜3,000円 |
| エリザベスカラー | 500〜1,500円 | 500〜1,500円 |
| 合計目安 | 15,000〜30,000円 | 25,000〜45,000円 |
自治体によっては去勢・避妊手術に対する助成金制度があります。金額は1,000〜10,000円程度で、申請期間が限られている場合が多いため、お住まいの自治体のホームページで確認してみてください。
術後のケア
手術後は猫の体に負担がかかっているため、1週間程度は安静に過ごさせることが大切です。
傷口を舐めたり引っかいたりしないよう、エリザベスカラーか術後服を着用させます。猫はエリザベスカラーを嫌がることが多いため、柔らかい素材のソフトカラーや術後服(ボディスーツタイプ)を選ぶとストレスが軽減されます。
食事は手術当日の夜から少量ずつ再開するのが一般的です。食欲が戻るまで1〜2日かかる猫もいますが、3日以上食べない場合は病院に連絡してください。
抜糸が必要な場合は、術後7〜10日目に通院します。最近は吸収糸(体内で自然に溶ける糸)を使う病院も増えており、その場合は抜糸不要です。
まとめ
猫の去勢・避妊手術は、生後5〜7か月頃、初回発情前に行うのが推奨されています。費用はオスで1.5〜3万円、メスで2.5〜4.5万円が目安です。手術のメリットは問題行動の予防と病気リスクの低減で、健康な猫であれば手術のリスクは非常に低いです。かかりつけ医に相談しながら、適切な時期に手術を検討してください。