犬の耳は人間と違ってL字型の構造をしており、湿気や汚れがたまりやすい部位です。放っておくと外耳炎や耳ダニの原因になるため、定期的なケアが欠かせません。
ただし、やりすぎもかえって耳を傷つけます。正しい手順と頻度を押さえて、愛犬の耳を清潔に保ちましょう。
犬の耳が汚れやすい理由
犬の耳道は外耳道から鼓膜にかけてL字型に曲がっています。人間のようにまっすぐではないため、奥に入った汚れや分泌物が自然に排出されにくい構造です。
さらに、垂れ耳の犬種は耳の通気性が悪く、蒸れやすいという問題もあります。トイプードルやコッカースパニエル、ゴールデンレトリーバーなどの垂れ耳の犬種は、立ち耳の犬種に比べて外耳炎の発症率が高い傾向にあります。
| 耳のタイプ | 代表的な犬種 | 汚れやすさ |
|---|---|---|
| 垂れ耳 | トイプードル、ダックスフンド、ビーグル | 高い |
| 半立ち耳 | コリー、シェルティ | 中程度 |
| 立ち耳 | 柴犬、チワワ、ポメラニアン | 比較的低い |
耳の中に毛が密生する犬種も注意が必要です。毛が湿気を閉じ込め、細菌やマラセチア(真菌)の繁殖を促してしまいます。
耳掃除に必要な道具
家庭での耳掃除に使う道具はシンプルです。動物病院やペットショップで手に入るものばかりなので、初めての方でもそろえやすいでしょう。
| 道具 | 用途 | 選び方のポイント |
|---|---|---|
| イヤークリーナー(洗浄液) | 耳垢をふやかして浮かせる | 犬用を選ぶ。アルコールフリーが低刺激 |
| コットンまたはガーゼ | 汚れを拭き取る | 繊維が残りにくいものが理想的 |
| ヘモスタット(鉗子) | 耳の中の毛を抜く場合に使用 | 自信がなければトリマーや獣医師に任せる |
綿棒の使用には注意してください。耳道の奥まで入れると汚れを押し込んでしまったり、耳道を傷つけるリスクがあります。使うとしても耳の入口付近のヒダの間を軽く拭く程度にとどめましょう。
耳掃除の正しい手順
実際の手順はそれほど難しくありません。犬がリラックスしているタイミングを選んで、手早く済ませるのがコツです。
まず、イヤークリーナーを耳の穴に数滴たらします。このとき液が冷たいと犬がびっくりするので、手のひらでボトルを温めておくとスムーズです。クリーナーを入れたら、耳の根元を親指と人差し指で軽くつまみ、クチュクチュと10〜15秒ほどマッサージします。耳道の中で液が行き渡り、汚れが浮き上がってきます。
マッサージのあとは犬が自分でブルブルと頭を振るので、飛び散った液ごと汚れが出てきます。最後にコットンやガーゼで耳の内側と入口付近を優しく拭き取れば完了です。
奥まで指やコットンを突っ込む必要はありません。見える範囲を拭くだけで十分です。
適切な頻度の目安
耳掃除の頻度は犬種や生活環境によって異なります。すべての犬に一律の頻度が当てはまるわけではないため、愛犬の耳の状態を観察しながら調整してください。
| 犬のタイプ | 推奨頻度 |
|---|---|
| 垂れ耳・耳毛が多い犬種 | 週1回程度 |
| 立ち耳で耳トラブルが少ない犬種 | 2週間に1回程度 |
| 外耳炎の既往歴がある犬 | 獣医師の指示に従う |
健康な耳であれば、クリーナーを使った本格的な掃除は月2〜4回で十分です。日常的には耳をめくって臭いや汚れをチェックする程度で問題ありません。
過剰な掃除はかえって耳の自浄作用を妨げ、炎症の原因になることがあります。きれいな状態の耳を無理にクリーニングする必要はないと覚えておいてください。
犬が耳掃除を嫌がるときの対処法
耳掃除を嫌がる犬は少なくありません。過去に痛い思いをした経験があったり、耳を触られること自体が苦手だったりと理由はさまざまです。
まずは耳を触ることに慣らすところから始めましょう。普段のスキンシップの中で耳の周りを軽く触り、嫌がらなければおやつで褒めます。触る→ごほうびのセットを繰り返すことで、耳に触れられることへの抵抗感が薄れていきます。
クリーナーを使う段階では、いきなり耳の中に液を入れるのではなく、コットンに染み込ませたもので耳の入口を拭くところから練習するのが効果的です。焦って無理やり押さえつけると、耳掃除への恐怖心が強くなってしまいます。
どうしても自宅でのケアが難しい場合は、動物病院やトリミングサロンに任せるのも選択肢です。プロに定期的にケアしてもらいつつ、少しずつ自宅ケアの練習を進める方法が現実的でしょう。
こんなサインが出たら動物病院へ
日頃の耳チェックで以下のような様子が見られたら、自宅ケアではなく早めに動物病院を受診してください。
| サイン | 疑われる疾患 |
|---|---|
| 耳を頻繁に掻く、頭を振る | 外耳炎、耳ダニ |
| 黒っぽい耳垢が大量に出る | 耳ダニ(耳疥癬) |
| 強い臭いがする | 細菌性外耳炎、マラセチア感染 |
| 耳の内側が赤く腫れている | 炎症、アレルギー性外耳炎 |
| 耳を触ると痛がる | 中耳炎の可能性 |
外耳炎は犬の通院理由の上位に入る疾患です。初期であれば点耳薬で治療できますが、慢性化すると治療が長引くうえに再発しやすくなります。違和感を感じたら早めの受診が結果的にコストも時間も節約できます。
まとめ
犬の耳掃除は正しい道具と手順さえ知っていれば、自宅で無理なく行えるケアです。垂れ耳の犬種や耳毛の多い犬種は週1回程度、立ち耳の犬種なら2週間に1回を目安にしてください。掃除のしすぎは逆効果になるため、耳の状態を見ながら頻度を調整することが大切です。
嫌がる犬には段階的に慣らしていく方法が有効ですし、無理なら動物病院やサロンに頼る判断も正しい選択です。日頃から耳をめくってチェックする習慣をつけておけば、トラブルの早期発見にもつながります。