犬は環境の変化に敏感な動物です。引越しによって住み慣れた場所から新しい場所に移ると、ストレスを感じて体調を崩したり、問題行動が増えたりすることがあります。
飼い主が適切にケアすることで、犬のストレスは大幅に軽減できます。引越し前・当日・引越し後のそれぞれのタイミングでやるべきことを確認しましょう。
犬が引越しでストレスを感じるサイン
犬は言葉でストレスを訴えることができないため、行動や体調の変化からサインを読み取る必要があります。
| サインの種類 | 具体的な症状 |
|---|---|
| 食欲の変化 | ご飯を食べなくなる、食べる量が減る |
| 排泄の乱れ | トイレの失敗が増える、下痢・軟便 |
| 行動の変化 | 元気がなくなる、落ち着きがなくなる |
| 過度な甘え | 飼い主から離れたがらない |
| 破壊行動 | 家具やモノをかじる |
| 無駄吠え | 夜鳴き、吠える回数が増える |
| 体の変化 | 過度なグルーミング、脱毛 |
こうしたサインが見られた場合、引越しによるストレスが原因である可能性が高いです。数日で落ち着く場合もあれば、数週間続くこともあります。
引越し前の準備
新居のにおいに慣れさせる
可能であれば、引越し前に新居を何度か訪問して、犬にその環境のにおいを嗅がせておくと効果的です。犬は嗅覚で環境を認識するため、初めての場所でもにおいを知っていると安心感が生まれます。
内見の際に犬を連れていくのが難しければ、新居のカーペットや床を拭いたタオルを持ち帰って犬のベッドの近くに置くだけでも意味があります。
使い慣れたグッズを確保する
引越しの荷造りで犬のベッドやお気に入りのおもちゃを段ボールにしまってしまうと、犬にとっては安心できるアイテムが突然なくなることになります。犬のグッズは最後まで手元に残し、引越し当日もすぐに取り出せるようにまとめておいてください。
飼い主のにおいがついた毛布やタオルも、犬にとっては大きな安心材料です。
動物病院を探しておく
新居の近くの動物病院をあらかじめリサーチしておきましょう。引越し直後に犬が体調を崩すことは珍しくないため、すぐに受診できる病院を把握しておくと安心です。
かかりつけの動物病院から紹介状やカルテのコピーをもらっておくと、新しい病院での診察がスムーズになります。持病がある犬の場合は特に重要です。
引越し当日の過ごし方
引越し当日は人の出入りが多く、玄関のドアが開けっぱなしになることもあるため、犬にとっては非常にストレスの大きい一日です。
理想は、引越し作業中は犬を別の場所に預けることです。知人や家族に預ける、ペットホテルを利用する、動物病院のデイケアを利用するなどの方法があります。
預けるのが難しい場合は、引越し作業が行われていない部屋にケージごと移動させ、ドアを閉めて静かな環境を確保してください。ケージのなかに使い慣れたベッドとおもちゃを入れ、水を用意しておきます。
新居への移動は自家用車が理想的です。犬は自分のにおいがする車内のほうが落ち着きます。公共交通機関を利用する場合は、規定のキャリーケースに入れ、移動時間をできるだけ短くしましょう。
新居に慣れてもらうための工夫
旧居と同じレイアウトにする
犬のケージ、フードボウル、トイレの配置は、できるだけ旧居と同じ位置関係にしてあげてください。「ケージの右側にトイレ、左側にフードボウル」という配置が旧居と同じであれば、犬は感覚的に「自分のスペース」を認識しやすくなります。
新居の間取りが違う場合は完全に同じにはできませんが、相対的な位置関係を近づけるだけでも効果があります。
最初の数日は一緒に過ごす
引越し直後の数日間は、できるだけ犬のそばにいてあげましょう。特に最初の夜は不安が強くなるため、普段は別室で寝ている場合でも、引越し後の数日間は同じ部屋で過ごすことを検討してください。
いきなり長時間の留守番をさせるのは避け、短時間の外出から始めて徐々に時間を延ばしていくと、犬が「飼い主は必ず戻ってくる」と認識してくれます。
散歩ルートを早めに確立する
犬にとって散歩は日常の重要なルーティンです。新居周辺の散歩ルートを早めに開拓し、毎日同じ道を歩くことで犬に安心感を与えてください。
新しいエリアのにおいを嗅ぐこと自体が犬にとってはストレス発散になります。急かさずに犬のペースで歩かせ、存分ににおいを嗅がせてあげましょう。近隣の犬や住民に会うことも、社会化の一環として良い刺激になります。
トイレの失敗が増えた場合
引越し後にトイレの失敗が増えるのはよくあることです。叱らずに淡々と片付け、正しい場所で排泄できたらしっかり褒めるという基本を徹底してください。
環境が変わったことでトイレの場所を認識できなくなっている可能性があるため、トイレシーツの枚数を一時的に増やし、成功体験を積ませることが大切です。1〜2週間もすれば元に戻ることがほとんどです。
ストレスが長引く場合
2週間以上経っても食欲不振や下痢が続く場合、元気がなく寝てばかりいる場合は、ストレス以外の原因(体調不良や病気)の可能性も考えられます。動物病院で診てもらうことを検討してください。
分離不安の症状が強く出ている場合(飼い主がいなくなると激しく吠える、破壊行動をする)は、ドッグトレーナーや動物行動学の専門家に相談するのも選択肢の一つです。
まとめ
犬の引越しストレスは、事前の準備と引越し後のケアで大きく軽減できます。使い慣れたグッズを手元に残すこと、新居でのレイアウトを旧居に近づけること、引越し直後は一緒に過ごす時間を増やすことがポイントです。
引越しは犬にとって大きな環境変化ですが、飼い主が落ち着いて接することで犬も安心します。新居での生活をペットと一緒に楽しむために、初期費用をできるだけ抑えておくと気持ちにも余裕が生まれます。仲介手数料を安くできる不動産会社を利用するなど、使えるものは活用していきましょう。