地震や台風、水害。日本に住んでいる以上、災害のリスクは常にあります。いざというとき、自分の避難だけでも大変なのに、ペットを連れてどう逃げるのか。考えたくない話ですが、事前の準備があるかないかで結果は大きく変わります。
環境省は「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」で、ペットとの同行避難を推奨しています。ただし、避難所がペットを受け入れてくれるかどうかは自治体や施設ごとに対応が異なり、飼い主側の備えが不十分だと同行避難がスムーズにいかないケースも少なくありません。
この記事では、災害時にペットと一緒に行動するために、今のうちから準備しておくべきことを整理します。
ペット用の防災グッズリスト
人間の防災リュックは用意していても、ペットの分は手つかずという方も多いのではないでしょうか。ペット用の防災グッズは、最低でも5日分を目安に準備しておくと安心です。
| カテゴリ | グッズ | 数量目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 食事 | フード(ドライ) | 5〜7日分 | 普段食べているもの。胃腸トラブル防止 |
| 食事 | 水 | 1日500ml〜1L × 5日分 | 犬は体重に応じて増量 |
| 食事 | 折りたたみ食器 | 2個 | 水用とフード用 |
| 衛生 | ペットシーツ | 20枚以上 | 多めに用意 |
| 衛生 | 排泄物用の袋 | 30枚以上 | 臭い対策の密閉袋が理想 |
| 衛生 | ウェットティッシュ | 2〜3パック | 体拭き・足拭き用 |
| 移動 | キャリーバッグ or クレート | 1個 | 普段から慣らしておく |
| 移動 | リード・首輪(予備) | 1セット | 災害時に切れる・外れるリスク対策 |
| 移動 | ハーネス | 1個 | 首輪より抜けにくい |
| 情報 | 迷子札(名前・連絡先入り) | 常時装着 | 万が一はぐれたときの命綱 |
| 情報 | ペットの写真(プリント) | 2〜3枚 | スマホが使えない場合に備えて |
| 情報 | ワクチン接種証明書のコピー | 1部 | 避難所で求められることがある |
| その他 | 常用薬 | 7日分以上 | 処方薬がある場合は多めに |
| その他 | タオル | 2〜3枚 | 防寒・目隠し・敷物に |
フードは必ず普段食べ慣れているものを用意します。災害時はペットもストレスを受けるため、慣れないフードが加わると消化不良を起こしやすくなります。ローリングストック方式(普段のフードを少し多めに買い、古いものから使って補充する)で管理すると、賞味期限切れを防げます。
マイクロチップと迷子対策
災害時にペットとはぐれてしまうケースは珍しくありません。2022年6月からは犬猫のマイクロチップ装着が販売業者に義務化されましたが、すでに飼っているペットへの装着は努力義務にとどまっています。
マイクロチップは体内に埋め込む個体識別チップで、専用リーダーで読み取ると飼い主の連絡先がわかる仕組みです。首輪や迷子札は外れる可能性がありますが、マイクロチップは外れないため、最終的な身元確認の手段として非常に有効です。
マイクロチップと併せて、迷子札の装着もおすすめします。マイクロチップは専用リーダーがないと読み取れないため、近隣住民が保護した場合などは迷子札のほうが早く飼い主に連絡がつきます。両方を備えておくのが理想的な組み合わせです。
避難場所と受け入れ状況の確認
「同行避難」と「同伴避難」の違いを知っておくことが重要です。
| 種類 | 内容 | ペットの扱い |
|---|---|---|
| 同行避難 | ペットと一緒に避難所まで移動する | 避難所内でペットと同じ空間にいられるとは限らない |
| 同伴避難 | ペットと同じ空間で過ごせる避難所 | 飼い主と同じ部屋またはペット専用スペース |
環境省が推奨しているのは「同行避難」、つまり避難する際にペットを置き去りにしないこと。ただし、避難所に着いてからペットと同じ空間で過ごせるかどうかは別問題です。多くの避難所では、ペットは屋外や別室に隔離されるか、受け入れ自体を断られる場合もあります。
事前にやっておくべきことは3つあります。自治体のハザードマップで最寄りの避難所を確認する。その避難所のペット受け入れ方針を自治体に問い合わせる。ペット受け入れが難しい場合の代替避難先(親族宅、ペットホテル、動物病院など)をリストアップしておく。この3つを済ませておくだけで、災害時の判断スピードが格段に上がります。
クレートトレーニングの重要性
避難所でペットと過ごすには、クレートやキャリーバッグの中でおとなしくしていられることが求められます。普段からクレートに慣れていない犬や猫は、突然閉じ込められるとパニックを起こし、鳴き続けたり暴れたりすることがあります。
クレートトレーニングは防災対策のひとつとして、日常的に取り組んでおくのがおすすめです。クレートを「閉じ込められる場所」ではなく「安心できる自分の部屋」として認識させることがポイントです。
最初はクレートの扉を開けたまま、中におやつやお気に入りのタオルを置いて自発的に入る経験を積ませます。自分から入れるようになったら、短時間ずつ扉を閉める練習を始め、少しずつ時間を延ばしていきます。焦らず、数週間かけて慣らしていくのがコツです。
猫の場合は、キャリーバッグを普段からリビングに出しておき、中に入って寝る習慣をつけさせるとスムーズです。キャリーバッグが「病院に連れて行かれるもの」としてだけ認識されてしまうと、見るだけで逃げるようになります。
避難時の持ち出し順序
実際に避難するとき、パニック状態で何から手をつけるか迷わないように、持ち出し順序を決めておきます。
| 順番 | 内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | ペットにリード・ハーネスを装着 | はぐれ防止が最優先 |
| 2 | キャリーバッグにペットを入れる | 移動中の安全確保 |
| 3 | 防災リュック(人間用)を背負う | 両手を空けるため |
| 4 | ペット用防災袋を持つ | 人間の次に優先 |
| 5 | 貴重品 | 余裕があれば |
猫の場合は洗濯ネットに入れてからキャリーバッグに入れると、パニック状態でも暴れにくくなります。災害時に興奮した猫をキャリーに入れるのは想像以上に大変なため、洗濯ネットを防災グッズに加えておくと役立ちます。
定期的な見直しを忘れずに
防災グッズは一度準備して終わりではなく、半年に1回は中身を見直す習慣をつけておきましょう。フードや水の賞味期限、ペットシーツの劣化、常用薬の有効期限は時間とともに変わります。
ペットの体重や年齢が変われば、必要なフードの量や種類も変わります。子犬・子猫と成犬・成猫ではフードが異なりますし、シニア期に入れば薬が増えることもあります。ペットの状態に合わせて防災グッズも更新していくことが大切です。
まとめ
ペットの防災準備は、グッズの備蓄、迷子対策、避難先の確認、クレートトレーニングの4つが柱です。災害が起きてからでは手遅れなことばかりなので、この記事を読んだタイミングで少しずつでも始めてみてください。完璧に揃えなくても、フードと水の5日分と迷子札の装着だけでも、何もしていない状態とは大きく違います。
引越しの予定がある方は、新居でも同じレベルの備えを維持できるよう、引越し時のチェックリストも確認しておきましょう。