ペット可の賃貸物件を探し始めると、思った以上に選択肢が少ないことに驚くはずです。全国の賃貸物件のうちペット可と明記されている物件は全体の1〜2割程度とされており、人気エリアではさらに数が絞られます。

限られた選択肢のなかから自分とペットに合った物件を見つけるには、通常の物件探しとは異なるアプローチが必要です。この記事では、ポータルサイトの活用法から内見時のチェックポイントまで、実践的な探し方のコツを解説します。

そもそもペット可物件が少ない理由

ペット可物件の少なさには、大家さん側の切実な事情があります。壁紙や床への損傷リスク、におい残りの問題、鳴き声による近隣トラブルの懸念から、多くの物件オーナーがペット飼育を不可に設定しています。退去時の原状回復費用が高額になる傾向も、大家さんがペット可に踏み切れない要因です。

とはいえ、近年はペット飼育世帯の増加に伴い、ペット可物件は増加傾向にあります。築年数が経過した物件や空室率が高いエリアでは、入居率を上げる目的でペット可に切り替えるケースも出てきました。分譲マンションの一室をオーナーが賃貸に出している物件も、管理規約でペット飼育が認められていれば狙い目です。

「ペット可」と「ペット共生型」の違い

ペットが飼える物件には、大きく分けて2つのタイプがあります。

タイプ特徴設備の例
ペット可(相談可)もともと一般賃貸だがペット飼育を許可した物件特別な設備はない場合が多い
ペット共生型最初からペットと暮らすことを想定して設計された物件足洗い場、ペットドア、脱臭換気システム、腰壁パネルなど

ペット共生型は家賃がやや高めですが、防音性や床材の耐久性が考慮されているため退去時の原状回復費用が抑えられるメリットがあります。長期的なトータルコストで考えると、むしろ共生型のほうが安く済むこともあるため、予算に余裕があれば検討する価値があります。

コツ1: 複数のポータルサイトを横断して探す

SUUMO、HOME’S、アットホームの3大ポータルサイトは、それぞれ掲載物件が異なります。ある物件がSUUMOには載っていてもHOME’Sには載っていないことは珍しくありません。

ペット可物件は母数が少ないため、1つのサイトだけで探すと選択肢がかなり絞られてしまいます。最低でも2つ以上のポータルサイトを並行して使い、ペット専門の物件検索サイト(ペットホームウェブなど)も併用するのが効率的です。

各サイトの検索画面には「ペット可」「ペット相談可」のフィルターが用意されています。サイトによって絞り込みの仕様が異なるため、同じ条件で検索しても表示される物件数に差が出ることがあります。

サイト特徴
SUUMO掲載物件数が最多。エリア検索が使いやすい
HOME’S物件の写真が豊富。「通勤時間から探す」機能が便利
アットホーム地域密着型の不動産会社の物件に強い
ペットホームウェブペット可物件に特化。飼育条件(犬種・頭数)で絞れる

コツ2: 「ペット相談可」を見逃さない

ポータルサイトの検索条件には「ペット可」と「ペット相談可」の2種類が用意されていることが多く、この違いを理解しておくことが重要です。

「ペット可」は最初からペット飼育がOKとされている物件で、「ペット相談可」は大家さんとの交渉次第でOKになる可能性がある物件です。検索条件を「ペット可」だけに設定すると「ペット相談可」の物件が表示されないことがあるため、必ず両方にチェックを入れてください。

「相談可」の物件で交渉を成功させるポイントは3つあります。ペットの種類、サイズ、頭数を具体的に伝えること。飼育歴やしつけの状況を説明して大家さんの不安を和らげること。そして、敷金の上乗せに応じる姿勢を見せることです。小型犬1頭や猫1匹であれば、交渉で許可が出る確率はかなり高いといえます。

コツ3: 検索エリアと条件を柔軟に広げる

希望エリアにペット可物件が見つからない場合は、視野を広げてみてください。隣接する駅や沿線まで範囲を広げるだけで候補が倍増することもあります。

ペット可物件の供給量はエリアによって大きく異なり、一般的に郊外や住宅街のほうが物件数が多い傾向があります。都心や駅近に限定すると極端に選択肢が減るため、最寄り駅から徒歩15分以内やバス便も含めて検索するのが現実的です。

また、条件を絞りすぎないことも大切です。「礼金なし」にチェックを入れるとペット可物件はほとんど表示されなくなるケースがあるため、最初は広めの条件で検索し、そこから優先順位を付けて絞り込むのがおすすめです。

HOME’Sの「通勤時間から探す」機能を使うと、駅や路線で絞るよりも広い範囲から物件を拾えるため、ペット可物件探しとの相性がよいです。

コツ4: 不動産会社に直接相談する

ポータルサイトに掲載されていない物件を持っている不動産会社は少なくありません。「ペット可の物件を探している」と直接伝えることで、サイトに載る前の物件や交渉次第でペット可になる物件を紹介してもらえることがあります。

特に地域密着型の不動産会社は大家さんとの関係が深いため、ペット飼育の交渉をしてくれるケースが多いです。来店時にペットの種類や大きさ、飼育歴を伝えておくと、条件に合った物件が出たときに連絡をもらえることもあります。

コツ5: 内見で見るべきペット目線のチェックポイント

気になる物件が見つかったら内見で確認すべきポイントがあります。通常の内見チェックに加えて、ペットと暮らす視点で見ておきたい項目を整理しました。

チェック項目確認ポイント
床材フローリングは滑りやすくないか。クッションフロアやペット対応フローリングなら爪傷が付きにくい
玄関まわり居室と玄関の間にドアや仕切りがあるか(脱走防止に直結する)
ベランダ柵の隙間が広すぎないか。猫の場合は転落リスクをチェック
日当たり・換気ペットの体調管理に影響する。風通しが良い部屋はにおい対策にも有効
収納スペースペット用品(フード、トイレ砂、ケージなど)の収納場所を確保できるか
周辺環境動物病院の距離、散歩ルート、近隣に公園があるか
共用部分エレベーターの有無(大型犬の移動)、ゴミ出し場のにおい対策
防音性壁の厚さ、隣室との距離。鳴き声トラブルを防ぐために重要

高層階はペットの落下事故リスクがあるため、犬猫の飼育であれば低層階のほうが安心です。ベランダの柵が低い物件や、隙間が大きい物件は避けたほうが無難でしょう。

契約前に必ず確認しておくこと

物件が決まったら、契約書にサインする前に以下の点を確認してください。見落としがちなポイントですが、退去時のトラブルを防ぐために欠かせません。

確認事項理由
飼育可能なペットの種類・サイズ・頭数「犬可」でも大型犬はNGなど制限がある場合がある
敷金の上乗せ額と返還条件ペット敷金が償却(返還されない)の条件になっていないか
退去時の原状回復の範囲特約でどこまでが入居者負担になるか
共用部分でのルールリード装着の義務、エレベーター利用のルールなど
ペット飼育の届出飼育開始時に管理会社への届出が必要かどうか

ペット敷金が「償却」と記載されている場合、退去時に返還されないことを意味します。同じ敷金2ヶ月でも「全額預り金」と「1ヶ月分償却」では退去時の負担がまったく異なるため、契約書の文言は必ず確認してください。

仲介手数料を比較して初期費用を抑える

ペット可物件は敷金が通常より高く設定されていることが多く、初期費用が膨らみがちです。仲介手数料を抑えることが費用全体のコントロールにつながります。

仲介手数料は不動産会社ごとに異なり、宅建業法で定められているのは「家賃1ヶ月分+消費税」という上限だけです。同じ物件でも仲介手数料を割引してくれる不動産会社を経由すれば、数万円単位で初期費用を節約できます。

どのポータルサイトで見つけた物件であっても、仲介手数料が安い不動産会社で契約することは可能です。物件を見つけたらすぐに申し込むのではなく、仲介手数料の条件を比較してから決めるのが賢い進め方です。

まとめ

ペット可物件の探し方は、通常の物件探しよりも工夫が必要です。複数サイトの横断検索で選択肢を広げ、「ペット相談可」物件も含めて探すことで候補はぐっと増えます。内見ではペット目線のチェックポイントを確認し、契約前には飼育条件と敷金の返還条件を必ず把握しておいてください。

良い物件が見つかったら、仲介手数料の比較も忘れずに。敷金の上乗せ分を仲介手数料の節約でカバーできれば、ペット用品や引越し後の生活にお金を回す余裕が生まれます。